15.有機化合物の構造と性質・反応

Q-01.
 異性体について系統的に述べよ。

A-01.
 異性体
  構造異性体 (分子式は同じだが構造が異なる)
  立体異性体 ----?幾何異性体(シス、トランス形)、鏡像異性体(光学異性体)

 (化学重要問題集 2021 212)



Q-02.
 有機物にハロゲン(フッ素を除く)が含まれているかどうかを調べる方法を答えよ。

A-02.
 銅線を強熱し、表面に酸化銅の被膜を作り、これにハロゲン(フッ素を除く)を含んだ試料をつけて再び強熱すると、緑から青緑色の炎が現れる。(バイルシュタイン反応)

 (化学重要問題集 2021 212)



Q-03.
 三級アルコールと三価アルコールを説明せよ。(紛らわしいので注意)

A-03.
 三級アルコール
 -OH 基に結合している炭素原子に別の炭素原子が1つ結合していれば第一級アルコールとなる。
2つ結合していれば第二級アルコール、 3 つ結合していれば第三級アルコール。

 三価アルコール
 -OH 基を1つ含む化合物なら一価アルコールであり、以下、2つなら二価、3つなら三価アルコールとなる。

 (化学重要問題集 2021 213)



Q-04.
 第三級アルコールは酸化されやすいか?

A-04.
 第三級アルコールは酸化されにくい。

 (化学重要問題集 2021 214)



Q-05.
 アルコールの沸点について、第一級、第二級、第三級、直鎖、枝分れ、で説明せよ。

A-05.
 アルコールの沸点
 ・第一級 > 第二級 > 第三級

 ・直鎖 > 枝分れ

 (化学重要問題集 2021 215)



Q-06.
 クメン法で生成する物質2つを答えよ。

A-06.
 フェノール、アセトン

 クメン法はフェノールを合成する反応であるが、アセトンができることを知っているかを問う問題も多数出題されている。

 (化学重要問題集 2021 217)



Q-07.
 ヨードホルム反応を示す構造を2つ書け。

A-07.

ヨードホルム反応を示す構造

 CH3CO- やCH3CH(OH)- が炭素原子または水素原子と結合していないとヨードホルム反応は起きません。

 Rはアルキル基、アリール基、水素です。

 (化学重要問題集 2021 217)



Q-08.
 酢酸はヨードホルム反応を示すか?

A-08.
 酢酸はヨードホルム反応を示さない。

 アセチル基のカルボニル炭素に直接(-OH)が結合しているような分子(たとえば酢酸など)では、この反応は起こらない。

酢酸ヨードホルム起こらない

 (化学重要問題集 2021 217)



Q-09.
 マレイン酸とフマル酸の融点について説明せよ。

A-09.
 マレイン酸 < フマル酸

 マレイン酸は分子間の他に分子内でも水素結合が形成し、分子間でのみ水素結合するフマル酸より分子間力が弱いため融点が低い。

マレイン酸 フマル酸
融点(℃) 133 300(昇華)
溶解度(g/100g水) 79 0.7

 (化学重要問題集 2021 218)



Q-10.
 マレイン酸とフマル酸の溶解度について説明せよ。

A-10.
 マレイン酸 > フマル酸

 フマル酸が水に溶けにくいのは、フマル酸の結晶がカルボキシ基を通した強い分子間相互作用を有しているためと考えられる。

マレイン酸 フマル酸
融点(℃) 133 300(昇華)
溶解度(g/100g水) 79 0.7

 (化学重要問題集 2021 218)



Q-11.
 第一級アルコール、第二級アルコール、第三級アルコールを酸化すると何ができるか。

A-11.
 第一級アルコール → アルデヒド → カルボン酸

 第二級アルコール → ケトン

 第三級アルコール: 酸化されない

 (化学重要問題集 2021 219)



Q-12.
 カルボン酸どうしは何を作るか?

A-12.
 カルボン酸どうしは水素結合により二量体をつくる。

カルボン酸の二量体

 (化学重要問題集 2021 222)



Q-13.
 オゾン分解について説明せよ。

A-13.
 アルケンに低温でオゾンO3を作用させると、オゾニドという不安定な化合物を生じる。これを、還元的条件で加水分解すると、二重結合が開裂してアルデヒドやケトンが生成する。

オゾン分解.PNG

 この反応は高校の範囲を超えているためか、通常出題されるときは上記のような図で反応の説明がある。

 しかし、オゾン分解はよく出題されるので、あらかじめどういうものか覚えておくと有利である。

 R1、R2、R3、R4が何かによって、分解してできるものが異なる。

 例えばR1~R4のどれかにHがあるとアルデヒドができる。

 (化学重要問題集 2021 226)



Q-14.
 -CO-NH-をもつ物質を何というか。

A-14.
 アミド

 アミド結合-CO-NH-をもつ物質をアミドといい、酸または塩基を加えて加熱すると、加水分解されてアミンとカルボン酸が生じる。

 (化学重要問題集 2021 229)



Q-15.
 加水分解する物質を2つ答えよ。(有機化合物の構造推定の問題を解く上で知っておかなければならない。)

A-15.
 ・エステル
  アルコールやフェノール類とカルボン酸から水が取れて縮合したものをエステルという。
  エステル結合 R-COO-R'

 ・アミド
  アミンとカルボン酸から水が取れて縮合したものをアミドという。
  アミド結合 -CO-NH-

 エステルの方はよく見るため知っている人は多いと思うが、アミド結合も加水分解する。

 (化学重要問題集 2021 228)
 (化学重要問題集 2021 229)



Q-16.
 C=O(Cの残り2本の結合省略)をH2で還元すると何ができるか。

A-16.
 C=OはH2でCH-OHに還元される(Cの残りの結合省略)。

 (化学重要問題集 2021 230)



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16.天然高分子化合物